最終更新日 2022/06/05

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108話 グリーンドラゴン

入り口が崩れたダンジョン前

移動した場所は、入り口が岩で塞がれていたが、
なんらかの影響で崩れて、中に入れる状況を作ったようだ。

「へぇー、ここは一本道か。」

「ああ。一本道の突き当りに下る階段がある。以前来た時は、あれ?何階だったか?」

カイトが記憶を辿っているが、覚えていなかったみたいだ。

オリエさんが覚えていたようで、話を引き継ぐ。

「確か。50階まであったはずよ。
あの当時、深くて30階程だったから、50階と分かって、宝が無いか気になっていたもの。」

僕は、カイト達が話をしている横で、
周りを鑑定したり、隠された部屋が無いか確認していた。

「コーヤさん。どうですか?」

シルフェさんが聞いて来た。

「一箇所に魔力で封鎖した跡がありますが、それだけですね。」

僕は、シークレット解除の魔法を発動すると、
入り口から近くの場所に枝道が出現した。

「へぇー。こんな所に、隠された道があるんだ。敵がいそうですか?」

「いないですね。」

僕達は、隠された道を行き、突き当りに10畳程の部屋があった。

隠された道の奥の部屋

「ここは、古すぎて、何も残っていないな。」

カイトは、部屋を見渡して言う。

「みんなで部屋に何か無いか探そうよ。」

僕の言葉で、念入りに部屋を調べて行くが、
収穫は魔法袋が1つ部屋の角に残されているだけだった。

「コーヤさんが、確認してもらえない?」

オリエさんから、手渡された魔法袋の中を見ると・・・。

「これは、魔法陣の中級編だ。」

「なんだと!?

確か、以前に山岳地帯に隠されていると聞いた覚えがあるが、ここだったのか?」

「カイト。そうとも限らないわ。誰かが見つけて、ここまで持って来た可能性もあるし。」

「うん。鑑定すると、どうやら、オリエさんの意見に近いらしいね。

ただ、これは、僕が探しているのでは無いらしい。

他にも保存していた人がいたんだと思う。それに、残念ながら、全巻無かったし。」

今回見つかった魔法陣中級編は、分析と解析により、
本来20冊あるのが、ここには15冊しか無かった。

「そうか。ちなみに、全巻無いと、やはりダメか?」

カイトが考え事をしながら聞いて来た。

「どうだろう。中身見ていないから、確定じゃないけど、パーツ次第だね。」

「それで、強化できれば、第五エリアのボスに勝てると思うか?」

どうやら、カイトは第五エリアのボスを倒せるのか、気になるようだ。

「そうだね。全巻揃っていれば、新しいアイディアも出るから、
倒せる可能性も出て来ると思うけど。」

「ねぇ。ここには、他に調べるところが無いなら、早く、下に行こうよ。」

ユニさんが催促して来た。

「考えるのは後にするか。」

最下層地下50階

今日は終業式で、冬休みに入ったので、時間があった。

その為、最下層の50階までの階を、慎重に調べる事が出来たが、
見つかるのは、風化した鉄くずくらいで、何も無かった。

「なぁ、コーヤ。ここは、何に使っていたんだ?最初に調べたんだろ?」

40階近くになると、カイトが聞いて来た。

「うん。ここが何か。そして、どんな事があったのか分かったんだけど、
教えていいか、微妙なんだよね。」

「それって、どういう事だ?」

オリエさんは、僕の遠回しの言い方に、気が付いた様だ。

「なるほどね。カイト、ここは聞かずに最下層に行きましょう。」

「おい!オリエは分かったのか!」

「ええ。でも、確かに先にバラしては、興ざめになるかも知れないわ。」

「はぁ。またかよ。最下層気になるから行くか。」

その後も慎重に調べていき、最下層に到着する。

ぐぅおぉぉぉぉーーーーーーー!!!!!!!!

「この鳴き声はドラゴン!?」

「正解。どうやら、グリーンドラゴンらしいよ。」

「そうか!一度、ドラゴンと戦ってみたかったんだ!」

カイトは、ドラゴンと戦えるとあって興奮している。

グリーンドラゴンの部屋

最下層も、ボス部屋以外に収穫は無いと思うので、
調べるのは、ボスであるグリーンドラゴンを倒してからに決まった。

「これは、上から入って来たのか。」

グリーンドラゴンの上には、巨大な穴があり、外から侵入したようだ。

「よし!今回は威圧で装備に、ヒビも入らなかった!絶対倒すぞ!」

「(メンバー全員)おーーーー!!!!」

カイトの号令で、グリーンドラゴンへ攻撃を始める。

グリーンドラゴンも侵入者を倒すべく、咆哮や魔法などで攻撃するも、
速さを手に入れたカイトパーティーには、なかなか、当たらない。

そして、終盤になり、大技を放つも、防がれてしまう。

その隙きに、上空へと移動したカイトは、
落下を利用して、グリーンドラゴンの頸めがけて突進する。

「そぉりゃぁぁぁーーーー!!!ドラゴンスレイヤーで斬る!!!」

カイトは、ドラゴンスレイヤーをイメージした剣で、
グリーンドラゴンの頸を切り落とす。

どしぃぃぃぃぃーーーーーーん。

「よし!ドラゴン初討伐!!」

「おめでとう。それで、最後の溜め技の感想は?」

「ああ。自分のイメージ次第だが、自由があるから、俺は好きだ。
それで、このドラゴンどうする?」

「そりゃぁ。僕の魔法袋に入れて持って帰るよ。」

「え!?コーヤさん。さすがに、無理では?」

シルフェさんが驚いている。

「ああ、僕のは無限袋だから、大丈夫ですよ。」

「(全員)はぁぁぁぁぁ!?」

「コーヤ!そんな話聞いていないぞ!」

「わたし達、魔法袋(中)でやりくりしているのに(呆然)」

収拾が付かなくなったから、一度落ち着かせて、説明した。

「コーヤさん!それじゃぁ。わたし達も無限袋を持てるんですか!」

すごくユニさんが興奮している。

「ユニ、落ち着いて。つまり、魔法袋を合成スキルの手動で、重ねて行けば良いのね?」

オリエさんが確認して来た。

「ええ。僕は、料理が好きなので、油揚げをイメージしましたが、
重ねる事が出来れば、なんでも問題ないと思いますよ。」

「そう。でも、魔法袋を集めるのも大変そうね。」

「もし良ければ、複製機貸しますよ。」

「複製機という事は、魔法袋をコピーするって事?」

「はい。ただ、複製機経由だと、無限袋にはなりません。

あと、合成スキルを手動で使うと、確率でレアスキルを入手する事も出来ます。

僕は、空間スキルを手に入れたので、裁縫で袋を作って、
空間で魔法袋に昇格させると、無限袋が完成します。」

「むぅー。という事は、空間スキルは絶対に欲しいわね。」

「シェーラさんも空間スキル持っているので、頼んでみるのも手ですよ。」

「そうね。後で、話し合ってみるわ。」

話が終わったので、僕はグリーンドラゴンの亡骸を無限袋に収納した。

「話が終わったのなら、宝の確認しましょ。」

シルフェさんが、そわそわしているので、
奥に山積みにされている宝の場所に移動した。

「これは、すごいな。(コインを手に取り)これは、過去の通貨か?」

「その様ね。他にも、魔法が付与された装備や使途不明なアイテムとか色々ね。」

「ねぇ。カイト、オリエ。ここで、1つずつ見てたら時間かかるから、
拠点でコーヤさんに確認してもらわない?」

ユニさんが提案して来た。

「そうだな。その方が良さそうだ。コーヤどうだ?」

「そうだね。ここまで多いと、纏めてからの方が良いと思うな。」

「良し。俺達の拠点に戻ろう。」

こうして、僕達は、ドラゴン退治を済ませて、カイトの拠点に移動した。

ちなみに、隠された部屋などを探したが、見つからず、
最下層を探索したが、使えそうな物はひとつも見つからなかった。

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